これまで積み上げてきた日本女子の力をホーバスHCが花を咲かせてくれた

東京2020オリンピックでは5人制女子代表が銀メダルを獲得。3×3は男女とも決勝トーナメント進出を果たし、5人制男子代表も、勝利こそつかめなかったが、今後に期待を持たせる戦いぶりを見せてくれた。そうしたオリンピックまでの取り組み、そして結果について日本バスケットボール協会(JBA)技術委員会委員長を務める東野智弥氏に総括してもらった。

東京2020オリンピック総括 VOL.1 [5人制女子編]

 

東野智弥

東野智弥(ひがしの ともや)
JBA技術委員会委員長
1970年9月9日生(石川県出身)
北陸高、早稲田大を経てアンフィニ東京でプレー。アメリカへコーチ留学の後、トヨタ自動車(現:A東京)でアシスタントコーチ、2004年には日本代表アシスタントコーチに就任。その後レラカムイ北海道(現:北海道)、浜松・東三河フェニックス(現:三遠)のヘッドコーチを歴任。2016年5月より現職。

 

─改めて女子の総括をお願いします。

「東京2020オリンピックで活躍を期待された選手たち、渡嘉敷来夢、本橋菜子、梅沢カディシャ樹奈といった選手が、オリンピックが1年延期となる中で、次々に故障してしまいました。選手が戻ってこられるか分からないといった状況で、チーム作りはとても難しいものでしたが、きちんと準備をして臨んでくれました。
トム・ホーバスヘッドコーチが本当にすばらしい仕事をしてくれました。すでに、さまざまなところで称賛されていると思いますが、戦術、戦略的に長けていました。彼の厳しい指導が注目されましたが、それに付いてこられる女子の土壌があったのだと思います。それは、これまで積み上げてきた日本の女子バスケの勝利と言っていいでしょう。身長に劣る選手たちの戦い方を極めようと積み上げた戦いぶり。その時々、指導者によって違いはあるものの、脈々と引き継いできたのだと思います。アトランタオリンピックでの中川文一さんや、アテネ、そしてリオを率いた内海知秀さんといった歴代代表チームのコーチたちはもちろん、アンダーカテゴリーですばらしい選手たちを輩出し続けてくださっている高校、中学、ミニやクラブなどの指導者の方々。そうした皆さんの勝利でもあります。一つの集大成を作れたのだと思います。
2016年、リオオリンピック後に内海さんからトムHCに代わるとき、メダルを取ると断言しました。リオではベスト4は逃したものの、すでにアジアカップでも連覇をしていましたし、コーチの交代は首をひねられた方もいたと思いますから、プレッシャーはありました。アジアでは4連覇を果たしていますが、ワールドカップでベスト8に入れない結果となり、そこでトムはしっかりとアジャストしました。日本語をこれまで以上に勉強するようになり、自分の言葉でコミュニケーションを取るように心掛けてきました。アジャストしつつ、それでいて信念は曲げずにやってきたのです。その結果として、彼女たちが見本のようなチームとしての戦いをしました。
ベスト4を懸けたベルギー戦もそうでした。ベルギーはとてもいい状態で、これまでにないほどシュートも入れてきました。35分間ベルギーの勝ちゲームでした。それでも、日本は粘り、ボディーブローのようにちょっとしたことを積み重ね続けました。やり続ける力と、最後までお互いを信じてサポートし合ったのです」

女子日本代表

ベルギー戦に勝利し歓喜に沸く女子日本代表

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