「シュートが入る選手と入らない選手の違い」を池内泰明氏(拓殖大男子監督)が語る
シュートを安定させるためには、繊細な準備(ウォーミングアップ)が必要
――体育館に来て、すぐに遠い距離からシュートするのは、なぜダメなのでしょうか?
「まずは、近い距離からイメージトレーニングです。シュートにもウォーミングアップが必要だと思っています。準備運動もせずに、全力疾走しませんよね? それと同じことなのです。体育館に入ってすぐに3Pシュートを放つのではなく、体を温め、頭の中でイメージを作って、徐々に距離を遠くしていくことをお勧めします。 “シュートが入る選手”は、そういうことをしっかりとやっていると思います。ユタ・ジャズの練習を見たときも、選手たちは本当に近い距離で確認しながらシュート練習を始めていきました。韓国のシューターと言われる選手たちも自分たちのしっかりとしたルーティンを持っていましたね」
――前日のコーチのアドバイスなど、さまざまな確認事項があるわけですよね?
「そうですね、コーチに言われたことをやる上で、整理することも大切です。ただ、アドバイスを聞いているだけではうまくはなりません。繊細に準備をしないと、シュートが安定しないと思っています。 プレー経験が長いほど、少しのことを変えることは難しくなってくるので、より意識を強く持って取り組むことが重要になってきます。そのためには何がおかしいのか、何を指摘されたのかを理解しなければないません」
――微調整とはいえ、すぐに結果は出ないものです。やはり、そこには我慢強さが必要になってきますか?
「“違和感”は多少あると思います。でも、そこを乗り越えていくことで、以前よりも良いシュートができるようになるはずです。自分のシュートを自分で見ることが少ないのも、なかなかアドバイスを取り入れられない一因かもしれません。ビデオカメラがなくても、今はスマートフォンでできる時代。選手同士でシュートの動画を撮影するのも参考になるでしょうね。華麗なプレーばかりを撮ってアップするのではなく…(笑)」
――“シュートが入る選手”は、各自でさまざまなこだわりを持っていますよね?
「意外といろいろなこだわりは持ってますね。あと、距離感というものは教えられません。これはシュートの本数を多くしていかないと身に付かないものだと思っています。良いフォームで距離感をつかんでいくことが大切なのです」
――ちなみに、池内さんは現役時代、どのようなこだわりがありましたか?
「近い距離でボールをバックスピンさせてシュートをしていました。ボールが戻ってくるのがズレたときは、体がリングに正対するように動いて繰り返していましたね」