「シュートが入る選手と入らない選手の違い」を池内泰明氏(拓殖大男子監督)が語る

“重心”や“視線”を僅かに変えるだけで、シュートの小さな誤差を修正できる

――今までどおりのシュートフォーム(あまり良い状態ではない)でたくさんの本数のシューティングをしても確率が上がらないことはないと思いますが、効率としては良くありません。
「シュートフォームに悪いクセが付いてしまうことの方が多いかもしれません。まずは、良いフォームをしっかりと固めていく方が先だとおもっています」
――年齢が低いほど、アンダーカテゴリーであればあるほど、ボールを遠くに飛ばすことが重労働です。飛ばすとか、リングに届くというより、良いフォームを身に付けたいものです。
「3Pシュートは入るとかっこいいですよね(笑)。だからといって、届かないシュートを無理して届かせる必要はありませんし、力でボールを飛ばそうとすることでフォームが崩れていってしまうことが多々あります。 徐々に遠い距離にも慣れ、年齢とともに筋力も上がってくれば、自然とボールは飛ぶようになるものです。年齢が低い場合、遠い距離よりもしっかりとしたシュートフォームにすることの方が重用だと思っています」
――シュートの確率が上がらないのは、何らかの原因があるということですね。
「シュートは反復練習です。自分のシュートフォームのチェックポイントがいろいろあることで、ボールが前後左右に外れたときに、どの項目を直すことで修正できるのかが分かれば、悩むことが少ないような気がします。『シュート10本で、リングのどこに当たって外れたかをチェックする』して傾向を知ることで、どのように修正するのかを決めていくのもいいと思います。自分のチェックリストを作るのも良いかもしれません。なぜボールが横に回転しないのか、なぜボールが右へ曲がるのか…これらには必ず原因があるのです。 逆に、シュートが入らない原因が分からないときは、練習しない方が良いと思っているほど(笑)。入らないときは距離を縮めていくことを勧めます。リングに近付いても入らないほどであれば、その小さな修正点は距離とともに比例して誤差が多くなるのです」
――ちなみにシュートが前後(長短)と左右(横)、どちらのズレの方が修正しやすいでしょうか?
「前後は恐らく重心を意識する程度で変わることはありますが、左右の方が修正は難しいと思います。自分自身の経験上、例えばシュートが右にばかりいく場合、一瞬左を向きます。視線だけでも良いかもしれません。これだけで僅かなズレを修正することができることもあります。また、体がリングにどの程度正対しているか(選手によって微妙に異なる)どうかも影響してきます。 シュートはほんの僅かなことで狂いが生じてくる繊細なスキルなのです」
――日々の練習で、どうしてもシュート本数やシュート確率だけで終わらせてしまうことが多いと思いますが…。
「コーチ(指導者)は、細かい部分に関して気にしていない場合が意外と多いです。50本シュートしたら終わりとか、今日は入ったとか、入らなかったなど…これも問題の1つなのかもしれません。細かい部分をどのようにしてチェックしていくかも必要になってくると思います。 ほかにもやらなければならないことはたくさんありますが、どんなに良いパスをもらってもシュートが入らなければ勝負ができません。バスケットボールのスキルでシュートは、優先順位としては高くあるべきだと考えています。 ベースとなる良いシュートフォームの先に、動きながらのシュートやディフェンスとの駆け引き、コンタクトしてシュートなどが出てくるのです」

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