U15/U12に大切な「スペーシング」を小宮邦夫氏が語る

 現在、アンダーカテゴリーのクラブチーム(D-EQUIPO)を指導する小宮邦夫氏は、高校からトップリーグまでエリート街道まっしぐらだった。日本代表に名を連ねることもあった小宮氏だが、アイシン(現Bリーグ三河)に移籍した際、細かなバスケットボールのスキルを要求されるようになり、『非常に大変だったですし、時間もかかりました』(小宮氏)というほど、ファンダメンタルの重要性を再認識し、それが今日のアンダーカテゴリー指導のベースにあるという。できるだけ早い時期から教えたいことに“スペーシングの理解”を挙げ「すぐにできるようにならなくても、その経験が次のカテゴリーで生きる」と語る。その指導のポイントについてインタビューした。

スペーシング
スペーシングは若いうちに身に付けたい

“リングに寄らないスペースの使い方”というものが必要

――アンダーカテゴリーであるU15やU12などでは当然、ファンダメンタルが重要ですが、個人のスキル以外に知っておいた方が良いことは何でしょうか?
「シュートを決める切る力がないと成り立たないことですが、プレーヤーは“スペーシング”というものを知っておく必要があると思っています。これにはさまざまなパズルがあり、プレーヤーがそれをどのようにしてクリアしていくのか、頭を使っていくのです」
――バスケットボールはオフェンスもディフェンスも根本的にボールを中心にいろいろなことが起きますね。
「ボールを持っているチームメイトが何をしたいのかを感じることが必要です。分かりやすく言えば、『ボールを持っている人は王様』なのです(笑)。周囲は、王様に合わせてどうやって気持ち良くプレーさせてあげることができるのかを考えなければなりません。プレーヤーには簡単に説明しています(笑)」
――ボールを持つプレーヤーはゲームで1人ではありません。
「そうです。チームのエースではなくても、絶対にボールは回ってきます。そのときは、そのプレーヤーが王様になるのです。この点と点を結び、最後はボールがリングに入れば良いと思っているので、そんなゲームをしてもらいたいですね」
――バスケットボールはハーフコートという14×15mという狭い空間に、10人が動いているスポーツです。結構な人口密度ですよね?(笑)
「カテゴリーが上がっていくほど、サイズも体も大きくなっていくので、さらに狭くなっていきます。アンダーカテゴリーでは、みんながシュートをしたい、リングにアタックしたいので、リングに近付きがちです。そこで、“リングに寄らないスペースの使い方”というものが必要になってくるのです。
 オフボールのとき、その場面でのプレーに関係ないのではなく、そこがあるからこそ次のプレーへとつながっていることを知ってもらいたいと思っています。 私がアイシン(現Bリーグ三河)に行ったとき、その部分に気付かされたということがありました。『ここでパスを展開してくれたお陰で自分が気持ちよく1対1ができた』と思ったのです。こういうことをもっと早い段階、アンダーカテゴリーの時代に知っておきたかった、知っていればもっと1対1の能力を引き出すことができたのでは? という自分自身の経験が今の指導につながっています」
――高校、大学時代はスペーシングというものをあまり考えていなかったのでしょうか?
「全くです(笑)」
――それは、ずっと王様だったからですか?(笑)
「はい!(笑)」

〈関連リンク〉「アンダーカテゴリーで必要な ファンダメンタル 」を小宮邦夫氏が解説 (セミナー動画/プレミアム・記事会員限定)

アンダーカテゴリーのプレーヤーたちの方が圧倒的に速いスピードで身に付いていく
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