U15/U12に大切な「スペーシング」を小宮邦夫氏が語る

スペーシングを理解させるためには、オフボールのプレーをどのように評価するかが鍵

――大きいプレーヤーでもほかのプレーヤーと同じような練習をしているのですか?
「どのプレーやーにもポイントガードのような発想を持ってバスケットボールに取り組んでもらいたいです。それでチームが負けようが、突き通していくべきことだと思っています」
――アンダーカテゴリーのプレーヤーにスペーシングというものをイメージさせるとき、一番苦労することは何でしょうか?
「結果、難しくはなかったのですが、『ボールマン以外のプレーをどう評価するのか』ということでした。この部分が非情に重要になってきます。シュートを決めたプレーヤーを褒めるのではなく、シュートを決めた過程を評価し、褒めることです」
――コーチとしては、本当に練習やゲームをよく見ていないと過程の部分は見過ごしがちですよね? 当然、指導する側もプレーを俯瞰して見なければなりません。
「今、6年目ですが、毎年プレーヤーたちのバスケットボールIQは高くなってきています。先輩たちのプレーを見ていくことで繰り返し、さらに良くなっていくようになりました。
 YouTubeなどでハイライト集を見ても、その部分は分からないのです。実はその前にこういう布石があった…ということが大切なので。指導者がバスケットボールというスポーツの競技性を理解していないと難しいのかもしれません。
 スペーシングを教えるということは、バスケットボールで重要なオフボールでの動きにつながってくるのです」
――プレーヤーの中にはスペーシングというものがなかなか理解できなかったり、イメージできなかったりするということもありますか?
「当然、あります。基本的に練習からドリブルを多用せず、パスでつないでいくというメニューが多くなっています。その上で、シュートが決まると非常にプレーヤーたちが盛り上がります。それは全員でプレーをしたことがシュートにつながっている、チームでオフェンスをしたということを実感できるからだと思います。それがセットされた決まったオフェンスではなく、自分たちで考え出した答えなのです。プレーヤー全員でゲーム(スマホなど)をクリアしたような喜びに近いものがあるのかもしれません。
 そうなると、プレーヤーが皆、『自分も同じようにやりたい!』という感じになってくるので、今一つ理解できなかったプレーヤーたちも思っていたよりはできるようになるまでの時間はかかりませんでした」
――その達成感が得られるようなメニューが練習に組み込まれているのですね?
「もちろん組み込まれていますが、それ以外にコーチ陣の盛り上げなども必要になってくると思っています」

〈関連リンク〉「アンダーカテゴリーで必要な ファンダメンタル 」を小宮邦夫氏が解説 (セミナー動画/プレミアム・記事会員限定)

プレーヤーには難しい理論ではなく、遊び感覚で身に付けてもらいたい
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