U15/U12に大切な「スペーシング」を小宮邦夫氏が語る

アンダーカテゴリーのプレーヤーたちの方が圧倒的に速いスピードで身に付いていく

――U15や中学では、サイズがあったり、体が大きかったり、スピードが速いだけで勝負している場合が多いですね?
「そうですね。はっきり言えば、その世代では身体能力の高いプレーヤーが勝つのです。でも、それは今だけの話であって、年齢とともにより身体能力の高いプレーヤーが集まってきたとき、戦うことができなければなりません。そうなったときのために、今身に付けておくべきことがあると思っています」
――具体的に、今(U15やU12世代)身に付けておくべきことは何でしょうか?
「たとえ身体能力が劣っていても活躍できているプレーヤーはたくさんいます。彼らはスペーシングやタイミングなどをよく知っていて、バスケットボールを上から見ている(俯瞰している)ような感覚でプレーできているのです。その部分を重要視して、今のクラブチームには落とし込んでいます。
 すぐにできるようにならなくても、そのイメージを持つか持たないかでプレーは大きく変わるはずです。我々はそのきっかけ作りをしているという感じです」
――身体能力だけでプレーしていると、いずれ限界が来ると…。
「その限界に気付いてから、やり始めるのでは遅いのです。その部分は自分の経験からもはっきりと言うことができますね。年齢が進むほど、身に付けるための時間も長くなりますから。何年かかりましたか? という話です」
――だからこそ、スペーシングなどをU15やU12からイメージを持たせたいということですね。
「最初は遊び感覚から練習に取り入れているのですが、U15やU12のプレーヤーを見ていてすごいと思うのは、中3になる頃には素晴らしいゲームになっているのです。『そんな所まで見ていたのか!』『そのスペースを見付けられるのか!』。やはり、アンダーカテゴリーのプレーヤーたちの方が圧倒的に速いスピードで身に付いていくことを実感しています。
 ヨーロッパなどでは早い時期から取り組んでいるようです。身体能力ではどうしてもアメリカよりも劣ってしまう部分をいかにして補い、超えていくのか…これは我々の日本でも直面することだと思っています」
――小宮コーチの教えるチームは、大きいプレーヤーや上手なプレーヤーなどを集めて勝っていこうというチームではありませんが、仮にそういうプレーヤーが以前から多く集まっていたとしても指導のコンセプトは変わらなかったと思いますか?
「現役時代からアンダーカテゴリーへの指導、育成をイメージしていたので、根本的な発想が違うのだと思います。だから、どのようなプレーヤーがいてもコンセプトは変わりません。190センチオーバーのプレーヤーが来ても同じ練習をやるでしょうし、リングに背を向けたプレーなどもさせませんね」

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