史上初! ウインターカップで高校生レフェリーがホイッスル

 2020年度のウインターカップの初日、12月23日に全国大会史上初となる高校生レフェリーがデビューした。東京体育館で行われた男子の正智深谷(埼玉県)対高知中央(高知県)の一戦で、東京都立小山台高校バスケットボール部3年の三浦海音君がレフェリーとしてコートに立ったのだ。
「東京体育館に足を踏み入れた時には、『ここまで来られたんだな』と、感慨深い思いはありました」と三浦君。それでも「少し緊張していたのですが、いつもどおりでいられるようにと意識していました。昨日は塾をいつもより少し早く上がって、お風呂に入って、リラックスして、いつもどおり寝られました」と必要以上の気負いはなかった。
試合中も驚くくらい「普通に、冷静に」ジャッジをしており、そんなレフェリー姿の三浦君を目にし、彼がこの会場に学生服でやってきたことを想像できる人はいなかったに違いない。

高校生レフェリー
ウインターカップの舞台でレフェリーを務めた三浦海音君

高校に入ってからレフェリーとプレーを両立

「中学生時代から自分が所属していたミニバスチームの手伝いにいき、審判などもよくやっていました」という三浦君は、高校に進学すると同校バケットボール部の顧問の平原勇次氏の下、本格的に審判を始めた。平原氏は高校教員でありながら、日本バスケットボール協会(JBA)公認S級審判でありBリーグの審判も行う。のみならず、FIBAレフェリーの資格も持ち、国際大会の経験も豊富。2008年の北京オリンピックでは女子決勝を担当、2014年のスペインワールドカップでのジャッジを行うなど、ワールドクラスのトップ・レフェリーなのだ。
JBAの公認審判制度はE級からA級、その上のS級までの6段階にレベル分けされており、資格に応じて地区大会、全国大会とジャッジできる大会に区別がある。全国大会であるウインターカップは、例年ならば全国からA級審判が集まり、この大会でジャッジできるB級審判は一握りにすぎない。しかし、今年はコロナ禍であることから、関東地区の審判員だけで担当することになったため、B級審判の割り当てが増え、三浦君は幸運にもそのチャンスを得ることになった。一方で高校3年生として、期待していたほとんどの大会がキャンセルになってしまっていた。
「三浦君は上級生の練習試合なども積極的に審判をやってくれ、とてもうまかったんです。聞いてみると、プレーだけでなく審判も好きだと言うので、資格を取ることを勧めました」と平原氏。JBAの公認審判制度はE級からA級、その上のS級までの6段階にレベル分けされており、資格に応じて地区大会、全国大会とジャッジできる大会に区別がある。
審判の経験があった三浦君はまずC級を取得。そして一年のうちにB級を受験した。
「C級までは希望すればだれでも受験できるのですが、B級を受験するには周りの審判員からの推薦が必要なのです。三浦君は周囲からも審判の実力が認められており、ルールテストや実技、フィジカルテストを無事にクリアしてくれました。それで年度の切り替わる2年生からはB級審判としてジャッジできることになったのです」と平原氏は説明する。
「もちろんバスケのプレーもしたいので、練習はみんなと一緒にやりながら、練習試合や大会などで審判をしてきました。平原先生の後ろに付いて動きを教えてもらったり、とても勉強になりました」と三浦君。一方で「B級になると大人の試合も審判することになるので、そこは少し難しさがありました」と、審判としてさまざまな経験を積み重ねた。

コロナに翻弄されたシーズンの最後にサプライズ
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